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言葉が増えてくると、どんどんきゅうくつになっていくのはどうしてなんだろう。 「シュンくんは、アカネちゃんと付き合ってるの?」 男の子からの呼び方が"ちゃん"から、"くん"に変わったのはその頃だった。 アカネちゃんに話しかけていると、ハルくんやケンタくんから、そういってからかわれるようになった。 「そういうのと、違うと思う」 付き合ってるって意味が、皆んな本当にはよくわからないのにそんな言葉を使うようになる。 そうすると弱虫のシュンくんは呪文に囚われたように、アカネちゃんに話しかけられなくなった。 また、蝶々を追いかけて勝手に校庭に出て行ったりするアカネちゃんに誰かのママから苦情がでたのだと、噂好きのリサちゃんが教えてくれた。 そのあとすぐに、アカネちゃんの席の隣には若い補助教員のお姉さんがつくようになった。 アカネちゃんは変わらず楽しそうにそのお姉さんに、イタズラしたり甘えたりしているようだったけれど。 それからもうアカネちゃんと茜ママも、シュンくんちにお泊まりに来なくなった。 アカネちゃんは、学校から帰ると毎日色々な教室に行かなければならなくなったからだった。 「アカネちゃんは、すごいお金持ちだから入れたのよこの学校に。ずるいよね」 リサちゃんにいわれたけれど、シュンくんはやっぱり何もいえなかった。 ずるいのかな?わかんない。 そういいたかったけれど、いった方がいいのかもわからなかった。
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