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小学校高学年になると、アカネちゃんとはクラスも違ったのでますます話すことがなくなった。
それでも時折見かけるアカネちゃんは、道端にしゃがんで宝物を見つけているようだったり、よく通る声で歌って踊りながら、車に轢かれそうになったりするのをびっくりして目撃したりした。
そんなアカネちゃんは変わらずに楽しそうで、シュンくんはそれを見かけるだけで安心したのだった。
そして身勝手にも、アカネちゃんだけはずっと世界が楽しみであふれたままでいてほしいなと、願ったりした。
結局アカネちゃんは、卒業を待たずにどこかの学校に移ってしまったようだった。
姿を見かけなくなってすぐに気がついたけれど、シュンくんママには何故か聞けなかった。
アカネちゃんを気にしてはいたけれど、シュンくんちもママの故郷でパパの本社のある国へ転勤が決まって引っ越すことになり、いつの間にかアカネちゃんを思い出す日が減っていった。
それでも日本を離れる時、飛行機から茜色の空が見えた時には、アカネちゃんの歌声や思い出が溢れてきてシュンくんママのうるうる魔法をはじめて体験してしまった。
「ほらお空が茜色よ、シュンくん!綺麗ね」
と窓際席のシュンくんママが、茜色の空を指したから。そしてママは続けてこう呪文を唱えたのだ。
「茜の花言葉はね、『私を思って』なのよ」
そうしてシュンくんは、魔法にかけられてしまったのだった。
うるうる魔法の後、もちろんネムネム魔法のサービスもちゃんと付いていたけどね。
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