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迷宮
飛び散った血と脳漿を浴びたはすみだった物から、所長と繋がる部分がズルリと押し出される。いまや所長は、人形でさえない肉塊となっていた。
天井を向き微動だにしなかったはすみが、こちらに視線を向ける。それはあのときの、はすみが投げかけた眼差しそのものだった。
はすみだった物を連れ肥料倉庫へと向かう。袋の一部にバーナーで火を点けると、乾燥した肥料がもうもうとした煙を上げはじめる。
やがて倉庫内の火災報知機が感知しCO2ガス消火装置が作動すると、酸素を奪われた炎は消火される。
意識が……遠のいてゆく……
あの刑事は思うだろう。はすみの死因と同じであると。しかし、もう遅い。死者に人権が存在しないように、死者に罰を科すこともできない。
ただ一つできることがあるとしたら、人形として社会に奉仕すること。
願えるなら……彼女と共に……
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