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あるとき、所長は急遽、政府と某国関係者の会議に参加することになった。
場内は二十四時間体制だが、所長は事務所を半ば自宅のように使い管理していたから、これからしばらくは自分が泊まりこみ、場内に気を配らなければならない。所長が云っていた二十四時間労働だ。とはいえ、一人なら手の抜きようはあるだろう。
管理する範囲が倍になり、人形の数も倍となった。人形の配分など管理に関する采配も所長がしていたので、奴の性格の悪さをあらためて思い知らされることになる。所長が受け持っていた人形は皆、若いのだ。
彼らは献体を契約によって入手するという。だが、死因は不明だ。統計によると、自殺者は十代から三四十代が多いという。この人形たちは、いったいどんな巡り会わせで、ここへ辿り着いたのであろうか。
ひとつ確実なことは、所長は人形の中から若い者を選び自分の管理下に置いていた。そしてそれが、最悪のシナリオへ導くトリガーとなった、ということだ。
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