5人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、始まる
「私も…私も要さんと同じがいいです」
要を見ながらそう言うと、カバンからペンケースを出して黒ボールペンを取り出して、婚姻届を自分の方に寄せ、記入し始めた。
桜の素早い動きに内心どきどきしつつ、記入するのを何気ない様子で待つ。
「はい、書けました…要さん、どうぞ」
と、黒ボールペンと婚姻届を要に渡す。それを無言で受け取って、記入し始めた。
ーーーーー
「うん。書けた」
そう言って、黒ボールペンをテーブルにそっと置いて、婚姻届を桜の方に向けて見せる。
桜は記入漏れがないか、間違ってないか、確認等であと念のため婚姻届全体にさっと目を走らせる。そして、あることに気がつく。
「あれっ?」
「ん?なんか間違いあった?」
「いえ、あの、保証人欄が記入済みになってます」
「えっ?」
要が慌てて保証人欄を見ると、記入済みになっていた。
「二人で記入する前、確か何にも書かれてへんかったはずやのに…こんな事出来るのって…じゃぁ、誰?」
すると、何処からともなく声が聞こえてきた。
「"じゃぁ、誰?"そんなん決まってるやん!ダジャレの神様の私やー!この後役所に行って、提出したらウフフで直ぐに夫婦になれるやろ?私からのちょっとしたお祝いやー!お幸せにー!バーハハーーイ!」
「バーハハーーイ…って…。今日土曜日やし、役所に婚姻届提出しに行っても預かりで、受理されるのは来週の月曜日やし、まだ夫婦にはなれへんのに…まぁ、ダジャレの神様そんなこと知らんか…でも、気持ちは、もう夫婦や!なっ、桜ちゃん!」
そう言って、桜の左手を両手で包み込み、薬指にそっと口づける。すると、桜が頬を桜色に染めた。
「もぅ…要さんったら…。あの、今日から夫婦ですね、要さん、宜しくお願いします!来週の月曜日から、結婚の事で色々忙しくなりますネ」
「ほんまやな…取り合えず今から婚姻届出しに行って、明日にでもお互いの両親に結婚報告しに行って…って、桜ちゃんの実家って何処?ちなみに僕は○○市内」
「要さんの実家、○○市内ですか!よかった…近い…明日お互いの両親に報告に行けます!私の実家、△△市内ですから!」
「ほんまに!?明日行けるな!よかった!そしたら、明日行こ!」
「はい!行きましょ、行きましょ!…って忘れてたけど、ここ喫茶店でしたね」
「ほんまや!忘れてたわ!」
最初のコメントを投稿しよう!