そして、始まる

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そして、始まる

 「私も…私も要さんと同じがいいです」 要を見ながらそう言うと、カバンからペンケースを出して黒ボールペンを取り出して、婚姻届を自分の方に寄せ、記入し始めた。  桜の素早い動きに内心どきどきしつつ、記入するのを何気ない様子で待つ。 「はい、書けました…要さん、どうぞ」 と、黒ボールペンと婚姻届を要に渡す。それを無言で受け取って、記入し始めた。 ーーーーー 「うん。書けた」 そう言って、黒ボールペンをテーブルにそっと置いて、婚姻届を桜の方に向けて見せる。 桜は記入漏れがないか、間違ってないか、確認等であと念のため婚姻届全体にさっと目を走らせる。そして、あることに気がつく。 「あれっ?」 「ん?なんか間違いあった?」 「いえ、あの、保証人欄が記入済みになってます」 「えっ?」 要が慌てて保証人欄を見ると、記入済みになっていた。 「二人で記入する前、確か何にも書かれてへんかったはずやのに…こんな事出来るのって…?」 すると、何処からともなく声が聞こえてきた。 「"?"そんなん決まってるやん!ダジャレの神様の私やー!この後役所に行って、提出したらウフフで直ぐに夫婦になれるやろ?私からのちょっとしたお祝いやー!お幸せにー!バーハハーーイ!」 「バーハハーーイ…って…。今日土曜日やし、役所に婚姻届提出しに行っても預かりで、受理されるのは来週の月曜日やし、まだ夫婦にはなれへんのに…まぁ、ダジャレの神様そんなこと知らんか…でも、気持ちは、もう夫婦や!なっ、桜ちゃん!」 そう言って、桜の左手を両手で包み込み、薬指にそっと口づける。すると、桜が頬を桜色に染めた。 「もぅ…要さんったら…。あの、今日から夫婦ですね、要さん、宜しくお願いします!来週の月曜日から、結婚の事で色々忙しくなりますネ」 「ほんまやな…取り合えず今から婚姻届出しに行って、明日にでもお互いの両親に結婚報告しに行って…って、桜ちゃんの実家って何処?ちなみに僕は○○市内」 「要さんの実家、○○市内ですか!よかった…近い…明日お互いの両親に報告に行けます!私の実家、△△市内ですから!」 「ほんまに!?明日行けるな!よかった!そしたら、明日行こ!」 「はい!行きましょ、行きましょ!…って忘れてたけど、ここ喫茶店でしたね」 「ほんまや!忘れてたわ!」
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