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私が暮らしているハーベル王国では、五歳になると全ての子どもが魔力の適正検査を受けることが義務付けられている。 そこで魔力量や適正を調べ、素質があると判断されれば将来王城務めの魔道士となる為の魔法学園に通ったりする。 アルビール子爵家は代々魔力量が多い家系で、お父様もかつては王都で魔道士として活躍していたと聞かされていた。 私が産まれた頃に役職を辞し、領地経営に専念するようになったらしいけど、その豊富な魔力は今も領地へ多大な恩恵をもたらしているらしい。 伯爵家から嫁いで来たお母様も魔力量は多かったし、お兄様もお姉様もそうだった。 だから、私もきっと魔力量は多いだろうし、将来はその力で大好きな家族と領地のために頑張ろうと思っていた。 「セリナは本当に優しい子ね」 そう決意を語る私の頭を、優しく撫でてくれたお姉様。 「セリナは本当に頼もしいな。兄妹で力を合わせて、アルビール領をもっともっと素晴らしい土地にしような」 嬉しそうにそう言って肩車をしてくれたお兄様。 そして、そんな私達を暖かい眼差しで見守ってくれていた両親。 その幸せは、全て私が魔力検査を受けた日に失われた。 「お父様、この水晶に触れば良いのですか?」 この後自分を待ち受ける運命を知らず、あの時の私は無邪気にお父様に尋ねていた。 「あぁ、そうだよ。緊張しなくて良いからそっと触れてみなさい」 「はいっ!」 蒼く美しい水晶の表面は、少しひんやりとしていた。 水晶は、魔力を持つものが触れると、その魔力適正に応じて光り輝くのだ。 魔力量が多ければ多い程により強く、より鮮やかに。 お兄様みたいな綺麗な青かな? それとも、お姉様みたいな鮮やかな赤かな? それぞれ水と火の強い魔力がある兄姉のように、きっと今回も水晶は眩しく輝くのだろうと思っていた。 しかし、そんな私の期待は一瞬にして裏切られた。 私が触れた水晶はしばらく待っても光り輝くことはなく。 ――ピシッ 無機質な音を立てて、真っ二つに割れてしまった。
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