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「『一体、その男を殺したのは誰なのか?』と、これでミステリになりますよね? 恋愛とミステリが絶妙に交差する『ラブ・ミステリ』です」
「……そのとんでもないドヤ顔はなによ。大体、その幼馴染の男を殺したのは、間違いなく家頭清貴じゃない。『探偵役が犯人でした』って禁じてじゃない」
いえいえ、と清貴は首を横に振った。
「侮らないでください。たとえフィクションの中であろうと僕は自分が直接手を下すような真似はいたしませんよ」
「って、もはや黒幕じゃない。犯人が捕まったあと、最後の一行でニヤッと笑って読者をヒヤッとさせるやつじゃない」
「そんな腹黒いのは嫌です」
「って、それょあなたが言う?」
「ラストは、すっかり恋仲になった僕と葵さんが、同じベッドの中で朝を迎えるシーンがいいです」
くりすは、やめてよ、と息をついた。
「だから私は、そういういちゃラブものじゃなくて、バディミステリが書きたいの」
「バディものって、僕と秋人さんってことですよね?」
「そうよ、イケメン二人、最高じゃない」
清貴は頬杖をつき、はぁ、と息を吐き出す。
「そんなの、僕はこれっぼっちも惹かれませんよ」
「あなたは惹かれなくても、世の女子は惹かれてくれるわよ」
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