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「すっかり香織と春彦さん、仲良しだよね」
「ライダーファン同士やし」
さらりと言う香織に、私は、そうだったね、と笑う。
「葵はライダー、どうなん?」
「弟は好きだったけど、私はプリキュアとか、『女の子戦士』の方が好きだったなぁ。昔、ステージを観に行ったこともあってね、すごく可愛くて強くて憧れて……」
「あー、うちも女の子戦士好きやった。……結局、うちはなんでも好きなんやろか」
独り言のように洩らす香織に、私は頬を緩ませる。
「ま、それはそうと、『京もっと』はそんなライダーファン仲間の春彦さんがリーダーやから、いろいろと融通が利くし」
たしかに彼がリーダーなら、私の事情も酌んでくれそうだ。
それにしても、最近の春彦さんは、随分と活動的だ。
陶芸サークルにも関わっているし、先日は香織と一緒に秋人さんのドラマにエキストラとして参加していた。
「思えば、春彦さんって、いろんなことをしてるよね?」
そうなんや、と香織が腕を組んで頷く。
「ここ最近の春彦さんは、急にあれこれしたはる。うちもなんでやろて思て、訊いてみたんや。そうしたら、『学生の内だし、いろんなことを経験してみたくて』って言うてた。けど、それだけやないて思う」
「どういうこと?」
「きっと、失恋の影響もある気ぃする」
香織は言いにくそうに、小声で告げた。
私は察して、無言で相槌をうつ。
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