1712人が本棚に入れています
本棚に追加
私は気を取り直して、話題を戻す。
「『京もっと』は、今のところ、どんな活動をしてるの?」
「まだ始めたばかりで活動てほどのことはしてへんて話やけど、町のゴミ拾いは何度かやってるて。この前も鴨川でゴミ拾いして、みんなでお弁当食べたんやで。あっ、もちろん、ゴミは出さへんで」
地味やろ、と笑う香織に、私は首を横に振る。
「ううん、とても素敵なことだと思う」
鴨川沿いを歩いていると、ゴミを目にして気になることがある。
できる限り拾いたいけれど、なんの用意もなければ、それも難しい。
学生たちが率先してゴミ拾いをする姿は、周囲に良い影響を与えるだろう。
ゴミ拾いならば、気軽に参加できるかもしれない。
「私もお手伝いくらいならできるかな。でも、バイトもあるし……」
「無理のない範囲でええて言うてたよ」
それなら、と私は頷いた。
「幽霊部員になっちゃうかもしれないけど」
「全然、構へん。良かった。葵が一緒やったら、うちも楽しいし」
本当だね、と私は笑顔を返す。
すると香織は、ホッとした表情を見せた。
「良かった、元気そうや」
「えっ、私、元気なかった?」
「最近、ため息ついてること多いし」
ああ、と私は肩をすくめる。
そんなに私はため息ばかりついているだろうか?
「もしかして、ホームズさんと何かあった?」
心配そうに問われて、私は、違う違う、と笑う。
「……ホームズさんのことじゃないよ」
そっか、と香織は表情を緩ませる。
最初のコメントを投稿しよう!