見習いキュレーターの健闘と迷いの森 前編

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「……私としては『本当に私でいいのかな?』って思う時はあるんだけどね。たぶん私は元々、ホームズさんの好みではなかったと思うし」  そう言うと、香織が、えっ、と動きを止めた。 「そうなん? ホームズさんって、元々はどんな子が好みやったん?」  私は、自分が言い出したことながらも戸惑い、眉を寄せた。 「ホームズさんの好み……?」  以前、ホームズさんが交際していた和泉さんは、儚げな雰囲気の美少女だった。  私とはタイプが違っている。 「よく分からないけど、きっと、私みたいなタイプではないと思う。ホームズさんは、美しいものが好きだから、元々はすごく綺麗な人が好みだったんじゃないかな」  少し笑って答えると、香織は驚いたように言う。 「そういうの、笑って答えられる葵がすごいわ」 「えっ、どうして?」 「葵は自己肯定感が高いんやな。うちなら、すぐ落ち込んでしまいそうや」  そんな、と私は首を振った。 「私も自己肯定感なんて高くないよ。さっきも言ったように『私でいいのかな』って、よく思うし」  それに、かつては誰かと比較して、すぐに落ち込んでいたのだ。
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