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「……私としては『本当に私でいいのかな?』って思う時はあるんだけどね。たぶん私は元々、ホームズさんの好みではなかったと思うし」
そう言うと、香織が、えっ、と動きを止めた。
「そうなん? ホームズさんって、元々はどんな子が好みやったん?」
私は、自分が言い出したことながらも戸惑い、眉を寄せた。
「ホームズさんの好み……?」
以前、ホームズさんが交際していた和泉さんは、儚げな雰囲気の美少女だった。
私とはタイプが違っている。
「よく分からないけど、きっと、私みたいなタイプではないと思う。ホームズさんは、美しいものが好きだから、元々はすごく綺麗な人が好みだったんじゃないかな」
少し笑って答えると、香織は驚いたように言う。
「そういうの、笑って答えられる葵がすごいわ」
「えっ、どうして?」
「葵は自己肯定感が高いんやな。うちなら、すぐ落ち込んでしまいそうや」
そんな、と私は首を振った。
「私も自己肯定感なんて高くないよ。さっきも言ったように『私でいいのかな』って、よく思うし」
それに、かつては誰かと比較して、すぐに落ち込んでいたのだ。
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