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「秋人……」
心優しい彼に、どう反応したらいいのか分からない。
突き放したいのに、胸が熱くなってしまうから何もできない。
「じゃあ、もう遅い時間ですし僕はそろそろ……」
「まぁまぁ」
父と母に対応しながら秋人はスマートな仕草で、壁にかかっていたコートを手に持つ。
何も言えず立ち尽くしている私に、彼はふいに真剣な眼差しを向けた。
「結愛、少しだけ……この後、ふたりで話せないか?」
「え?」
どきっと心臓が嫌な音を立てる。
速くなった鼓動の音を聞きながら、頭が冷えていくのを感じた。
秋人に何を言われるの? この前、キスしたこと……?
それとも宮森さんと秋人のお父さんに、私のこと、何か聞いたとか……?
「おにいたんっ! かえっちゃやだ! もっと遊ぶ!」
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