私たちの花

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あやめは大急ぎで秋人の足元に近寄っていき、右足をぎゅっと掴む。 大きな瞳には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだ。 「あやめ、外は寒いし風邪引いちゃうでしょ。ばぁばと待っていようね」 「やぁだ!」 母が宥めようとするけれど、あやめは声をあげて泣き出してしまう。 私が無理やり抱きかかえようとするも、あやめは反対に秋人の足にしがみついて離れない。 本当の父親から引き離すことは、やはり胸が痛む。 それでも心を鬼にしてあやめを秋人から引き剥がそうとしたそのとき。 秋人はあやめの頭を優しく撫でた。 「ありがとう、あやめちゃん……もし、結愛やお母さんたちが大丈夫でしたら、彼女をすぐそこのイルミネーションに連れて行ってあげたいんですが、どうでしょう。それならきっと満足するかもしれない」 「秋人……すぐそこって、駅の周辺の?」 「ああ」 実家の最寄り駅の周辺は、小規模ながらクリスマスのイルミネーションが施されているのだ。 行って帰ってきたら、約ニ十分くらいだろうか。 ベビーカーにあやめを乗せたら、そのまま眠りにつくかもしれない。 それに……あやめがいたほうが、秋人と際どい話をせずに済むかもしれない……とずるい考えが働く。
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