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君と僕は男の子同士だけど、時々、手を繋いで歩いたり、校庭の木陰で軽いキスをしたりする。
君の唇は薄荷の香りがほのかにするのだ。
僕たちは、キスの後に一粒チョコレートを口にすることがあって、それは君の薄荷の香りと中和して、チョコレートミント味になった。
夏休みも、もう終わろうとした頃、図書館の庭の木陰で、お互いに腕を出して、どちらが白いか比べてみた。
軍配は君の方へ上がった。
僕たちは身体が弱く、海水浴や山のレジャーやキャンプなどには行く事が難しい。
太陽に当たる時間が、とても普通の少年たちよりも少ないのだった。なので、夏でも日焼けする事がほとんど無い。
君の腕は、透き通る白磁のように白い。乳白色に近い白さだ。切り付けても、紅い血が出て来なそうである。
僕はどちらかと言うと、青筋の目立つ象牙色で、不健康な青白さで、君のように美しくなんかない。
僕たちは、腕と腕をピタリとくっつけたり、お互いの肩に手を回したりしてふざけ合っては、クスクス笑いを繰り返す。
楽しいひと時である。
「このまま歳を取らずに、ずっと13歳のままでいられたらいいのに・・・」
「そうだね。二学期なんか、永遠に来なければいいのに・・・」
僕たちは、どちらが言うでもなしにこんな会話をしていた。
淋しそうな君の横顔を、僕は生涯忘れまいと、この少年の時にこの眼に、死んだ後も残るようにと、魂ごと強く焼き付けた。
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