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 ごめんね。  泣く両親。  2人の背中に手を当てる妹。  妹は顔を歪めていて、でもその目に光るものはない。  帰り道。  妹は両親をなぐさめながら歩く。  泣かない彼女が心配でたまらない。  家に帰ると、妹はベッドに座って写真立てをぼうっとながめた。 「大丈夫?」  そう問いかけてみるけれど返事はない。  私の言葉は妹には届かない。 「なんで死んじゃったの」  うん。ごめんね。 「もっと、いろんなこと、一緒にしたかったのに」  うん。私も。 「長生きしてよ。一緒に生まれて一緒に死ぬんだって、私たちはずっと一緒だって、約束したじゃん」  うん。私も死にたくなかったよ。 「凛々の嘘つき! ばか! 大嫌い!」  約束守れなかったね。ごめんね。 「ごめん、ね。私も、嘘つき、だ」  花蓮が言葉に詰まる。 「大嫌いじゃ、ない。だい、すき、だよお」  声をあげて、花蓮は泣いた。 「会いたいよお」  私は花蓮の目の前にいるよ。  その言葉は届かない。  花蓮には私が見えない。  そして私も、花蓮の様子を見ることはできるけど言葉は交わせない。  私はそっとドアをすり抜けて部屋から出た。  一階に降りると、下の階まで響く花蓮の泣き声に涙ぐみながらホッとした様子を見せる両親がいた。 「お父さん、お母さん、今までありがとう。花蓮をよろしくね」  聞こえないのは分かっていたけれど、ただ、言いたかった。  お父さん、お母さん、そして花蓮。  先にいなくなっちゃって、ごめん。親不孝者だよね。ダメなお姉ちゃんだよね。  3人とも、長生きしてね。  花蓮、私みたいにさっさと死んだらダメだよ。  生まれてからずっといろんなことが一緒だったけど、こればっかりは一緒にしたら当分口きかないからね。  いつ死ぬかなんて、誰にも分からない。  私と同じ病気になるかもしれないし、違う病気かもしれないし、事故かもしれない。  だけど、花蓮はギネス世界記録になるくらい長生きしてよね。  私の分も生きて。  幸せになって。  そして、また会おうね。積もり積もった話をいっぱいしよう。  気長に、待ってるから。
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