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千夜くん、大丈夫かな…。
そう思いながら登校して、コンビニで久しぶりに惣菜パンを買う。
そして、コンビニを出て少し歩いた辺りで鈴木くんの後ろ姿を見つけた。
「鈴木くーん!」
私が走りながら掛けた声に鈴木くんが振り返る。
鈴木くんが待っていてくれたおかげで、彼に直ぐに追いついた。
息を軽く弾ませる私に、メガネのツルを上げながら鈴木くんが言う。
「千夜くんは今日、お休みですか?」
「ええ…。熱が高くて辛そうだったから、休ませたの。早く良くなると良いんだけど…」
そう言いながら私と鈴木くんは再び歩き始めた。
「風邪が流行っているみたいですからね。インフルエンザじゃないと良いのですが…。今夜はグループ通話はやめておきましょう」
「山村先輩、心配しそうだものね」
「山村先輩には僕から電話で話しておきます」
そして、私と鈴木くんは2人だけで登校した。
お昼休み。
千夜くんが居ないだけで、こんなに寂しいなんて…。
いつもより口数が少ない私を気遣って、鈴木くんが優しく声を掛ける。
「大丈夫ですよ。千夜くんはそんな弱くありません」
「ありがとう、鈴木くん。あの…」
「はい?」
私は小声になって鈴木くんに言った。
「今日は先に帰っているわ。千夜くんが心配だから…。早く逢いたいの」
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