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千夜くん、倒れるの続き
「千夜くん!千夜くん!!」
「嫌だ…止めろ…やめてくれ…!」
私は必死になって、千夜くんを起こそうと彼の身体を布団の上から揺さぶった。
千夜くんは顔中汗びっしょりになっていたから、ハンカチで顔を拭いたけど、ハンカチも直ぐにびしょ濡れになる。
千夜くんは起きる気配が無い。
その苦悶の表情を見ている内に、私は哀しくなってきた。
「駄目だ…先輩…よせ…っ!」
「千夜くん…」
夢の内容までは分からなかったけど、熱で悪夢にうなされているのは確かだ。
付き合い始めた時、私が千夜くんの心を守るって言ったのに…。
私は無力だ。
「あああああああああああああああああああ!」
「…っ…」
私の目から涙が溢れ落ちる。
私はそのまま千夜くんの枕元に踞った。
「嫌だって言ってるだろ…!」
「ううー!」
掠れた声をあげて、うなされている千夜くんに、泣き出した私。
どれくらいの間、そうしていたかは分からない。
千夜くんの苦しみ、悲しみ、辛さが切迫してきて私は泣き続けていた。
やがて、千夜くんが静かになった。
起きたのかと思って、顔を上げたけど、千夜くんは眉間に皺を寄せながら眠っていた。
私はハンカチを置くと、布団の中に手を入れて、千夜くんの汗まみれの手を掴み出した。
そのまま両手で千夜くんの手を握り締める。
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