千夜くん、倒れるの続き

4/5
前へ
/66ページ
次へ
少しして襖が開いたと思うと、又少しして今度は茶碗とレンゲを持った香澄が私服姿になり、寝室に入って来た。 「お待たせ。トレー1つしかないから、両手が塞がっていると不便ね」 「ひと言言ってくれりゃー俺が襖開けたのによ」 「ダーメ。さっきも言ったでしょう?熱が下がってきてるとはいえ、油断はしないでって。今日は横になっていて?」 香澄はそう言い、ヨーグルトと残り少ねー水を詰めると、トレーの空いたスペースに茶碗とレンゲを置いた。 さっきはチラッとしか見れなかったが、よく見ると俺の好きな鮭の身がほぐして入っている粥だった。 鮭は皮も美味いし、フレークをそのまま飯に掛けても美味いんだよな。 俺は朝から何も食ってないのもあって、よく息を吹き掛けると、粥をひと口食った。 …買ってきてもらって何だが、粥も自分で作った方が美味いな。 「そういや、夕飯はどうするんだ?」 「コンビニまで行ってお弁当買ってくるわ。千夜くんはお粥まだ在るけど、それで良い?」 「ああ。だが、女が1人で暗くなってから出かけるのは危ない。受験勉強もあるし、出前とれ」 「1人分じゃ届けてくれないわよ」 「じゃあ、奮発して寿司とろうぜ。今の時期なら玄関先に置いとけば明日くらいまで傷むことはねーだろ」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加