ソワソワする男子達

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大体、弁当には朝飯の残りを主に盛り付ける。 足りない時は肉とか野菜を炒め、その都度味付けを変える。 今朝は味噌汁の味噌が残り少ねーから、味噌で味付けしたのを入れた。 「美味しい…昨日、1日食べられなかっただけでこうも違ってくるのね」 香澄は本当に美味そうに食ってくれる。 「コンビニのレトルト食品や惣菜パンには負けねーぜ。ハートがこもっているからな」 俺はそう言って味噌汁を飲み干した。 互いに行く準備が整うと、俺と香澄は揃って古屋敷を出た。 2人で手を繋ぎ歩いていると、不意に冷たい風が吹いた。 「ゔー、さみー」「寒い!」 香澄が俺に身体を寄せてくる。 必然的にそうやって歩けるから、俺は寒いのは嫌いじゃなかった。 只、昨日みたく風邪引いちまうと話は別だが。 特に昨日の悪夢はもう2度と見たくない。 まさか先輩、俺等の事を後ろからつけて…。 「おはようございます」 「うわあ?!」 俺は後ろから聞こえてきた声に過剰に反応しちまった。 「おはよう、鈴木くん。千夜くん、どうしたの?」 「い、いや、別に」 何だ、鈴木か…。 アメリカにいる筈の先輩が後ろにいる訳ねーか。 とはいえ、俺の心臓はまだ早鐘を打ってる。 そんな俺の様子を気にしてなさそうな鈴木の声が再び聞こえてきた。 「千夜くん、1日で体調回復するとは流石です。昨夜は山村先輩を宥めるのに苦労しました」 後ろを振り返ると鈴木のメガネの奥の目は眠そうだ。 きっと俺の声が聞きてーって山村の奴め、そう駄々を捏ねて鈴木を困らせたんだろ。
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