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俺は鈴木に同情するが、鈴木自身はどーゆー訳か山村を気に入ってるフシがある。
「ですが、今夜からは又、グループ通話再開ですね」
「そうね。丁度明日は休みだから、山村先輩と待ち合わせ時間を決めたいわ」
「そ、そういや、バレンタインデーは、もうじきか。昨日からすっかり忘れてたぜ」
大分、落ち着いてきたら、現実を思い出した。
今年も又、校門前で他校の女共に待ち伏せされるのか?
俺等の通う心誠学園の近くに清良学園という高校がある。
そこも確か共学だが、何故か女共が当日の放課後決まって待っているのだ。
「他校の女共のチョコレート、全部鈴木にやるよ」
「いえ、遠慮しておきます。僕自身にくれるチョコレートの数も結構多いので」
「いっそのこと、山村にやったら喜んで食うかもな。香澄、明日山村に会うならチョコレート…」
「持って、行、き、ま、せ、ん!」
香澄はどこか不機嫌そうだ。
ひょっとして妬いてるのか?
だとしたら、可愛くて抱きしめたくなるが、場所が場所だから我慢した。
「千夜くんはお返しを贈らないのに、毎年僕以上に貰っていますね」
「そうなんだよな。面倒くせー」
「千夜くんは私だけのものなのに…」
香澄が小声で呟いた声は俺にも鈴木にも聞こえなかった。
そうこう話しながら俺等は3人で学園に登校した。
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