13人が本棚に入れています
本棚に追加
弁当を食い終わった訳じゃなく、俺と香澄のノロケ話に、鈴木はそう言った。
「そういえば、ホワイトデーに何をお返しされるかによって相手の気持ちがわかるって本当?」
「はい、まずキャンディは…」
鈴木が一昨日のグループ通話の時の様に、香澄にも俺と山村に話したことを聞かせた。
「香澄、ホワイトデー、キャンディかマカロンか楽しみにしてろ」
「ありがとう、千夜くん。鈴木くんにも友チョコ当日までに買って渡すからね?」
「ありがとうございます。僕もホワイトデーにはクッキーをお返ししますよ。それまでにはお互い大学に合格しましょうね?」
鈴木は確かT大学の医学部を受験することになっている。
試験日は香澄より後だった筈だから、鈴木も余裕があるんだろ。
最も1年の頃から毎日勉強してる鈴木は受験が迫っても、いつもと変わらないんだろうが。
「そうね。進路も恋愛も上手くいって欲しいわ」
「恋愛なら上手くいってるだろうが」
「今はそうですが、諸橋さんは卒業後の事を言っているのでしょう」
「大丈夫だ、香澄。パティシエになって無事に帰ってくる」
「千夜くん…私、待ってる」
「僕もですよ。おそらく山村先輩も、でしょう」
「あんた等…」
そうだ。
フランスに渡っても日本で香澄等が待っていてくれるなら、どんなに厳しい修行でも耐えてみせると俺は心の中で決意した。
最初のコメントを投稿しよう!