古屋敷での出来事

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可愛い事を言う香澄に、俺は顔を覗き込んだままその小さな唇にキスをした。 「ん…」 香澄が目を閉じ、溶けたチョコレートだらけの身体の力を抜く。 まるで俺にしなだれかかる様に。 俺はチョコレートが付くのも構わず、香澄の身体を支える様にして、深くキスをし続け…様としてやめた。 床や壁にまで付いたチョコレート。 早く掃除しねーと、汚れが取れなくなる。 俺は香澄の唇から自分の唇をそっと離した。 名残り惜しそうに目を開ける香澄。 「千夜くん…?」 「台所中、溶けたチョコレートだらけだ。早く綺麗にしねーと、壁紙や床のフローリングがチョコレート模様になるぜ」 俺は香澄の身体を離すと、掃除用具入れから、バケツと洗剤、後は雑巾を持ってきた。 香澄は着替えることもせず、火傷した手から生肉をそっと取り外した。 「まだ痛いけど、紅みが大分引いたわ。ありがとう、千夜くん。でも、このお肉はもう食べない方が良いわね」 香澄は生肉を三角コーナーに捨てた。 「香澄、台所の掃除は俺がやるから、早く着替えて来いよ。洗濯機に服と洗剤入れてボタンを押す位、出来るだろ?」 「ごめんね、千夜くん。でも、そうさせてもらうわ」 香澄はそう言うと台所を後にした。 俺はバケツに水を張ると洗剤を中に入れる。
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