山村先輩のチョコレート作り教室

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「次にチョコレートを湯煎して溶かすよう。マカダミアナッツも殻から出して茹でないといけないから、鍋にもお湯を沸かすよう」 そう言うと山村先輩はナッツの袋から少し殻ごと出して、殻を剥き始める。 「ちょっと硬いけど、香澄ちゃんも剥いてみる?」 「ええ!やってみるわ」 私も殻を剥き始めたけど、茹でる前だからか、やっぱり硬い。 「山村先輩。ナッツは殻のまま茹でないの?」 「普通は殻のままゆでるよう。その方が栄養も逃げないし、剥き易くなるからねー。でも、その分茹でる時間が増えるんだ」 ふむふむ。 つまりは時短になるという事ね。 2人で殻を剥き終わると、沸騰した鍋にナッツを入れた。 と、同時に電気ケトルのお湯も沸いてスイッチがオフになる。 「どっちを見てれば良いの?」 「大丈夫だよう。こうすれば」 山村先輩は空いているIHの上に大きなボールを鍋の近くに置くと、その中に電気ケトルのお湯を注いだ。 「この距離なら両方とも見れるよう」 そう言いながら山村先輩は、大きなボールの上に小さなボールを浮かべると、刻んだチョコレートを綺麗に入れる。 「香澄ちゃん、お砂糖取ってー」 ゴムベラでチョコレートを溶かし始めた山村先輩。 その山村先輩は自分の手元を見ながら私に言った。 私はお砂糖を取った…つもりでいた。 そうこの時は。
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