13人が本棚に入れています
本棚に追加
そして手慣れた感じで湯煎されたチョコレートを器用に型から溢れない様に流していく。
そして、茹で上がったナッツを型1つ1つに、火傷しない様にザルにあけて、水を掛けてから落としていった。
「後はチョコレートが冷めると自然に硬まっていくけど、こうして冷蔵庫に入れれば早く硬まるよう」
そう言いながら山村先輩は、型を倒さない様に冷蔵庫の空いているスペースに置いていった。
「ありがとう、山村先輩」
「何ならチョコレートが硬まるまでラッピングする箱と紙バッグを用意しようか?」
「そこまでしてもらって…何か悪いわ」
「でも、中身が見えたらつまらないでしょ?」
山村先輩の言う事も一理ある。
私は素直にお言葉に甘える事にした。
「じゃあ…お願いしようかな」
「決定!ちょっと待ってて!保に似合いそうなの持って来る!」
山村先輩はそう言ってキッチンを出て行った。
私は改めてキッチンを見渡す。
広いのは勿論、綺麗に掃除が行き届いているのが解る。
千夜くんにも、こういう場所で料理を作らせてあげたいわ…。
と、少しして山村先輩が箱の上以外ラッピングされた物と赤い紙バッグを持って来た。
後はチョコレートを入れて、箱の上をラッピング用紙で覆って完成だ。
「僕ね、保みたいになりたかったんだ…」
「山村先輩…」
「保、いつも格好良くて、そっけなくされる程、振り向かせたい!って思ってた。でも、ある日保が言ったんだ」
最初のコメントを投稿しよう!