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山村先輩の思いとチョコレートの完成
「何て…?」
「保の真似して、僕の良いところまで潰しちゃうことはない。僕には僕にしかない良いところもいっぱいある筈だからって」
千夜くん…。
「そう言われて嬉しかったなぁ。それと同時に、あー、僕はこの人には敵わないなぁって思った」
「千夜くんはいつも何だかんだ言って、山村先輩の事、きちんと見ていたのね」
「うん!だから香澄ちゃん。保の事、これからも宜しくね?」
「ええ!任せて!」
「うん!任せた!」
そう言い合って私と山村先輩はどちらからともなく笑い合った。
それから少しして。
「大分硬まってきたねー。後は寒いから自然と硬まると思うよう」
そう言って山村先輩がチョコレートを取り出していく。
私は箱の中に上手く収まる様に型から出したチョコレートを入れていった。
途端、小さな箱はチョコレートでいっぱいになる。
「山村先輩。こんな感じで良いかしら?」
「えっと、どれどれ…。…うん!良い感じ!これなら保も喜ぶと思うよう。じゃあ閉めてラッピング用紙で覆っちゃおー」
ラッピング用紙をよくよく見ると、赤い用紙にバイクのイラストがところどころ描かれた、かわ格好良い用紙だった。
山村先輩、意外と…って言ったら失礼だけど、その人に合ったものを選ぶセンスの良さがあるわよね。
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