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香澄のノートだ。
俺は中見が気になったが、幾ら恋人のノートだからってコソコソ見るのは良くねー気がした。
が、その時。
強風が、換気の為に開けておいた窓から入ってきて、ノートがハラリとめくれた。
俺の視界に可愛い丸文字の香澄の字が入ってきた。
どうやら日記帳の様だ。
それも最初の日付けは、俺と初めて逢った日。
春休みの最後の日になっている。
『千夜くん』という文字が目に入って、俺は好奇心に勝てなくなった。
『4月4日、火曜日。
今日、諸橋家の持ち家の古屋敷に引っ越した。
重い荷物を運んでいたら、金髪だけど良い人が荷物を持ってくれた。
4月5日、水曜日。
今日から心誠学園に転入した。
昨日、荷物を持ってくれた人が同じクラスでビックリした。
名前は千夜保くんというみたい。
4月6日、木曜日。
今日から通常日課だ。
千夜くんから鈴木航くんを紹介された』
殆ど俺とのことじゃねーか。
俺はペラペラとページをめくってみた。
ノートの最後の方…一昨日、俺が寝込んだ日にはこう書かれている。
『千夜くんが体調を崩した。
学園から帰ると悪い夢を見ていたのか、苦しそうにうなされていて、悲しかった。
私は何とかしてあげたかった。
でも、私には何も出来なかった』
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