14人が本棚に入れています
本棚に追加
古屋敷に着き、香澄が洗面所で手洗い・うがいをしてる間に、俺も台所の水道で同じ事をし、冷蔵庫からチーズケーキを取り出していた。
香澄は心底、嬉しそうな笑顔を魅せてる。
それだけで簡単だが、作った甲斐があったなと思った。
「今、切り分けるから、部屋着に着替えて来いよ」
「ええ!ありがとう、千夜くん!」
香澄は台所を出て行く。
紙バッグを流し台の上に置いたまま。
「おい!チョコレート忘れてるぞ!もう食って良いのか?!」
俺の声が聞こえたのか、香澄は慌てて戻ってくる。
「14日まで楽しみにしていて?」
香澄は照れ笑いを浮かべると、紙バッグを手に今度こそ台所を出て行った。
どんなチョコレートなのか、覗けば良かったか?
だが、ラッピングを剥がした時点で香澄にバレるだろう。
俺はケーキスパチュラを取り出すと慎重にケーキを切っていった。
今日は寒いし、肉が冷蔵庫に入っていたから、夕飯は野菜も加えて焼肉にすることにした。
臭いの後始末が面倒だが、たまには良いだろ。
俺も香澄も焼肉は好きだった。
食後のデザートは勿論、さっきカットしたチーズケーキだ。
「お店の焼肉も美味しいんでしょうけど、千夜くんの焼いてくれたお肉も美味しいわよ」
何か…もっぱら俺が肉や野菜をプレートで焼く係で、香澄がそれを食う係の様な…。
最初のコメントを投稿しよう!