2人きりの空間

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古屋敷に着き、香澄が洗面所で手洗い・うがいをしてる間に、俺も台所の水道で同じ事をし、冷蔵庫からチーズケーキを取り出していた。 香澄は心底、嬉しそうな笑顔を魅せてる。 それだけで簡単だが、作った甲斐があったなと思った。 「今、切り分けるから、部屋着に着替えて来いよ」 「ええ!ありがとう、千夜くん!」 香澄は台所を出て行く。 紙バッグを流し台の上に置いたまま。 「おい!チョコレート忘れてるぞ!もう食って良いのか?!」 俺の声が聞こえたのか、香澄は慌てて戻ってくる。 「14日まで楽しみにしていて?」 香澄は照れ笑いを浮かべると、紙バッグを手に今度こそ台所を出て行った。 どんなチョコレートなのか、覗けば良かったか? だが、ラッピングを剥がした時点で香澄にバレるだろう。 俺はケーキスパチュラを取り出すと慎重にケーキを切っていった。 今日は寒いし、肉が冷蔵庫に入っていたから、夕飯は野菜も加えて焼肉にすることにした。 臭いの後始末が面倒だが、たまには良いだろ。 俺も香澄も焼肉は好きだった。 食後のデザートは勿論、さっきカットしたチーズケーキだ。 「お店の焼肉も美味しいんでしょうけど、千夜くんの焼いてくれたお肉も美味しいわよ」 何か…もっぱら俺が肉や野菜をプレートで焼く係で、香澄がそれを食う係の様な…。
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