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「なんてな。香澄は細いから少しはもっと食った方が良い。生物だから日持ちしねーしな」
「んもう。千夜くんの意地悪」
香澄は怒った様に頬を膨らませていたが、やがて2切れ目を食い出した。
途端、顔を綻ばせる。
俺もひと切れ目を食い終え、2切れ目に手を伸ばした。
香澄、2切れ。
俺も2切れ。
元々4号だから、それでも互いに食い過ぎたかもしれねー。
「あー、美味しかった。でも、お腹いっぱいで動けない。明日の体重が計るの怖いわ」
俺は香澄を安心させようと洗い物をしながらウソを言う。
「俺、ちとぽっちゃり気味の女が好きなんだよな」
「えっ!そうだったの?」
香澄は、やっぱ本気にしたらしい。
俺の言った事を信じきってるのが声から解る。
「ああ。だから多少体重増えていても、俺の気持ちは変わらねー。香澄の心が綺麗なままならな」
心が綺麗な云々は、ウソじゃなくホントだ。
「千夜くん…♡私も千夜くんが例えメタボになっても優しいままだったら私の気持ちも変わらないわ」
俺はメタボにならない様に筋トレしてるから大丈夫だと思うが、せっかく香澄が言ってくれたんだ。
礼だけ言って、後は食器洗いに集中した。
2人で順番に風呂に入ると、直ぐに布団に入る。
鈴木からグループ通話が、どっちかの携帯に掛かってくる筈だが、寒い所で話して又、風邪引いたら堪んねーからな。
と、香澄の携帯が鳴った。
「スピーカーにするわね」
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