グループ通話

1/2
前へ
/66ページ
次へ

グループ通話

そう言うと香澄の枕元に置いた携帯から、いつものように鈴木と山村の声が聞こえてくる。 『はい、もしもし。こんばんは、グループ通話のお時間です』 『こんばんはー!』 「こんばんは」「よお」 『山村先輩と諸橋さんは今日、チョコレートを作ったのですよね?』 「え、ええ。山村先輩、今日はありがとう」 『う、ううん。美味しそうなチョコレートが出来て良かったよう』 …何か香澄と山村の声がぎこちなかったが、それを気にする間も無く、香澄が鈴木に言う。 「鈴木くん、友チョコの方はもう少し待っていて?今日はまだ買っていないの」 『解りました。バレンタインデーまでには、まだ少し日にちがありますから、お気遣い無く』 「せっかくだから、山村先輩にも友チョコ贈るわね?今日、お世話になったし」 『えっ?ホント?!やったあ!』 「香澄、また金欠になるぞ。それに当日は平日だから山村には会わねーだろ」 「大丈夫よ。今日で家の場所はわかったから。帰り道、郵便受けに入れるだけだし」 「だったら、俺もついてく。変な連中に絡まれたら大変だかんな」 『それは一理ありますね。それと今日チョコレートを買えなかったのは、諸橋さんの金銭面からの理由ですか?』 「鈴木、それについては触れないでやってくれ」 「千夜くん…♡」 あれだけレジ袋に粥が入っていたんだ。 香澄の金欠は多分俺への粥代が関係してるだろうしな。 「そうそう!千夜くんも山村先輩の家を見たらビックリすると思うわよ。凄い豪邸なの!」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加