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グループ通話
そう言うと香澄の枕元に置いた携帯から、いつものように鈴木と山村の声が聞こえてくる。
『はい、もしもし。こんばんは、グループ通話のお時間です』
『こんばんはー!』
「こんばんは」「よお」
『山村先輩と諸橋さんは今日、チョコレートを作ったのですよね?』
「え、ええ。山村先輩、今日はありがとう」
『う、ううん。美味しそうなチョコレートが出来て良かったよう』
…何か香澄と山村の声がぎこちなかったが、それを気にする間も無く、香澄が鈴木に言う。
「鈴木くん、友チョコの方はもう少し待っていて?今日はまだ買っていないの」
『解りました。バレンタインデーまでには、まだ少し日にちがありますから、お気遣い無く』
「せっかくだから、山村先輩にも友チョコ贈るわね?今日、お世話になったし」
『えっ?ホント?!やったあ!』
「香澄、また金欠になるぞ。それに当日は平日だから山村には会わねーだろ」
「大丈夫よ。今日で家の場所はわかったから。帰り道、郵便受けに入れるだけだし」
「だったら、俺もついてく。変な連中に絡まれたら大変だかんな」
『それは一理ありますね。それと今日チョコレートを買えなかったのは、諸橋さんの金銭面からの理由ですか?』
「鈴木、それについては触れないでやってくれ」
「千夜くん…♡」
あれだけレジ袋に粥が入っていたんだ。
香澄の金欠は多分俺への粥代が関係してるだろうしな。
「そうそう!千夜くんも山村先輩の家を見たらビックリすると思うわよ。凄い豪邸なの!」
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