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『こんばんはー!』
山村の喧しい挨拶が終わった後、俺はチョコレートを拭き取り続けながら言った。
「よお。香澄なら今、近くには居ないぜ」
手を動かしながら口も動かす俺に鈴木が言う。
『何かあったんですね?』
「ああ。香澄がチョコレート作ろうとして、台所が大惨事になった」
『そういえば、もうじきバレンタインデーですね。諸橋さんの受験日は確か2月の20日ですから、良い息抜きになるでしょう』
『保、良いなぁ。僕もママ以外の女の子から手作りのバレンタインチョコレート欲しいよう。鈴木くんは貰った事有るのー?』
『有りますね。ホワイトデーには、マシュマロを返してしまいましたが。知っていますか?何を返すかによって意味合いが違うのを』
「俺が知るかよ。毎年、ホワイトデーに好きでもねー女共に、何か返したことはねーな」
俺は毎年、バレンタインデーになると、校門前で他校の女共が、持って来たチョコレートを押し付けてくるのを思い出した。
『僕も知らなーい。どういう意味があるのー?』
『キャンディは、私も貴女が好きです。
マカロンは、特別な人、
クッキーは、友達、
そして、僕が返したマシュマロは、距離を置きたい相手、
です』
香澄にはキャンディかマカロンを返すのに決定だな。
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