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香澄は確かに可愛いが、だからって俺の女に手を出す奴は許せねー。
俺は空いてる方の拳で、腕を捻った方の野郎を1発殴りつけてから、手を離してやった。
「ヴグッ?!」
手を離された野郎は危なっかしい足取りで、腹と顔にダメージを喰らった野郎を起こすと、フラフラと2人で逃げて行った。
野郎共の姿が見えなくなったところで、香澄がヘナヘナと座り込んだ。
「怖かった…。ありがとう、千夜くん。さっきはごめんね?千夜くんは何も悪くないのに、私ったら勝手に嫉妬して…」
俺はしゃがんで目線の高さを香澄に合わせる。
「何、自分の彼氏が他の女共からバレンタインデーチョコ貰ったってわかったらそりゃ面白くねーよな。嫌な思いをさせて悪かった」
「千夜くん…」
「立てるか?香澄」
俺が立ち上がって手を差し伸べると、香澄は震える手で握り締めてくる。
そのままぐいっと身体を起こしてやった。
「チョコなら、さっきの野郎共に俺が寄越されたの、くれてやれば良かったか」
「駄目よ!あげたチョコの1つ1つに女の子達の千夜くんへの気持ちがこもっているんだから!」
香澄…俺が他の女共にチョコレートを貰って嫌なのかと思ったが…女って複雑だよな。
「わーった。山村ん家まで案内を頼む」
「ええ!千夜くんもホワイトデーにお返しの手紙位書いてあげてね?」
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