古屋敷での出来事

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そう思っていると、山村の声に思考を遮断される。 『凄ーい!鈴木くん!』 「何が凄いの?」 丁度、違う部屋着に着替えて来た香澄がグループ通話に加わった。 まだ台所の掃除は終わってないが、掃除も苦手な香澄に下手に手伝わせると、余計に時間が掛かりそうなので黙って拭き取り続ける事にする俺。 『ホワイトデーに何を返されるかで相手の気持ちがわかるという話です』 「ホワイトデー?…あ、千夜くんから私がチョコレート作ろうとしていたの聞いたの?」 『うん!香澄ちゃん、良ければ今度の休みの日に僕ん家に保とおいでよう。チョコレートの作り方教えるよう』 「ありがとう!山村先輩」「俺は、やなこった」 香澄と俺の声が重なった。 「チョコレートなら作れるっつーの。俺まで行く必要ねーだろ」 『千夜くん、諸橋さんを1人で山村先輩のお宅に行かせて不安じゃ有りませんか?』 「んな訳ねーだろ。香澄が山村に惚れる訳ねーし」 「千夜くん…♡」 見ると香澄は暖かい視線を俺に向けていた。 『そんなのわかんないじゃないかあ!』 『千夜くん、山村先輩も男性です。そういう意味でも心配じゃ有りませんか?』 「いんや、全然」 山村なら香澄に手荒な真似はしねーだろ。 そう思って言ったのだが、山村は面白くなかったらしい。
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