バレンタインデー

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夜。 風呂に入る前。 居間で風呂に入る準備をしてると、香澄が俺に赤い紙バックを差し出した。 「サンキュー、香澄。待ってたぜ」 「私も湯煎頑張ったけど、殆ど山村先輩が難しいところは代わりに作ってくれたの。食べてみて?」 香澄が手作りチョコレートに挑戦すると知った時は正直どーなるこったと思ったが、山村も手伝ったんなら、安全だろう。 俺は安心し切って紙バックを受け取った。 マスキングテープを剥がすと、中には赤い色にバイクのイラストがところどころに描かれているラッピング用紙が目に入った。 「おっ?俺好みのラッピング用紙じゃねーか」 「山村先輩が選んでくれたのよ。チョコレートにも秘密が隠されているわ」 そう言われると期待が高まる。 俺はなるべく用紙が破れない様に剥がしていくと箱の中にハート型のチョコレートが幾つか入っているのが見えた。 箱を開けて、早速1つ食ってみる。 と…。 「…」 「声も出ない位、ビックリした?山村先輩と話し合って、千夜くんのだけマカダミアナッツを入れたの。入っているでしょ?」 「…ゔ…、…ま…」 「美味いって言おうとしてくれているの?私も嬉しいわ!」 香澄が嘘をついている様には見えねー。 見えねーが…。 俺は落花生の入った砂糖と塩を間違えているチョコレートを目を白黒させながら無理矢理、飲み込んだ。
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