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「山村、ホワイトデー楽しみにしてろよ!」
俺はマシュマロでも押し付けてやろうかと思ってそう言ったのだが。
『わーい!保からホワイトデーにお返し貰えるー!』
『良かったですね、山村先輩』
山村には真逆に捉えられた。
そのポジティブさに、怒ってるのが馬鹿馬鹿しくなってくる。
だが、香澄の胸云々は100歩譲って片目を瞑るとしてだ、このチョコレートを全部そのまんま食うのは正直キツい。
「あのなあ山村。色々わだかまりは有るが、香澄が世話になったな。チョコはソルトナッツチョコレートアイスを作る時に利用させてもらう」
『ソルトナッツチョコレートアイスー?』
『おそらく、ホワイトデーに千夜くんが諸橋さんにお返しするのでしょう。違いますか?』
「いんや、鈴木の言う通りだ。あったけー部屋で冷てーアイスを香澄に食わせるのも悪かねーと思ってな」
『美味しそうだねー。でも、そしたらお返しの意味は何て言うの?鈴木くん』
『それは千夜くんの中で既に意味は決まっているのではないでしょうか』
鈴木の言うことは図星だった。
ソルトナッツチョコレートアイス。
ホワイトデーに食う女は珍しいだろう。
だが、意味が決まってないなら、意味を作っちまえば良い。
ソルトナッツチョコレートアイスの意味は…、
《パティシエになったら結婚しよう》
完
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