古屋敷での出来事

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ブスッとした声で山村は言う。 『じゃあ、香澄ちゃん!僕ん家に泊まっていきなよ!一緒に寝よう?』 「山村、あのなあ」「えっ…」 又しても、俺と香澄の声が重なった。 と、香澄が引いた様な声で言う。 「山村先輩。私、受験勉強もあるから、チョコレートだけ作ったら帰るわ。長居しても申し訳ないし…」 ハッ! 山村、ザマーねーぜ。 『うん…わかった…。じゃあ、チョコレートの作り方だけ教えるね!』 山村、立ち直るのも、早いな。 こうして、今度の休日、香澄は山村ん家に行く事になった。 ただ、場所がわからないので、コンビニのイートインで待ち合わせするらしい。 俺はケーキ作りの練習と部屋の片付けでもするかなと思っている。 『では、本日のグループ通話は、この辺で失礼します。皆さん、おやすみなさい』 「ああ」「おやすみなさい」『おやすみー』 そう言って、雑巾をバケツで洗っている俺に代わって香澄が電話を切った。 「台所、随分、綺麗になったわね。千夜くん、ありがとう」 「何、これくらい年末の大掃除に比べたら大したことねーぜ。それよか、山村にお持ち帰りされるなよ」 「大丈夫よ、心配しないで。千夜くんもお留守番お願いね?」 「ああ、夕飯作って待ってるぜ」 俺が、洗った雑巾の入ったバケツを手に持って立ち上がると、香澄は嬉しそうに微笑んだ。
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