千夜くん、倒れる

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「熱、8度3分もあるじゃない!今日は学園は休んで横になっていた方が良いわ!」 「香澄…朝飯なら昨夜の残りが冷蔵庫にあっから…」 「わかったわ。喉が乾いているみたいだから、余り喋らない方が良いわよ?帰りにコンビニからレトルトのお粥沢山買ってくるから!」 そう言いながら寝室を出て行った香澄は、次に来た時は水とストローの入ったコップとヨーグルトの容器を乗せたトレーを両手で持って来た。 「とりあえず、冷蔵庫に入っていて、食べれそうなの持って来たわ」 俺は枕元にトレーが置かれたところで、ストローで水をひと口飲んだ。 「香澄…俺に余り構うな…。受験勉強の邪魔になる…」 「大丈夫よ。勉強の時間も確保するから。それよりも私、もう行く準備始めるけど、きちんと寝てなきゃダメよ?」 香澄はそう言うと、寝室の襖を閉めて出て行った。 香澄は今は大事な時期だ。 俺の風邪?が移らねーと良いんだけどよ。 明日になっても熱が下がらなかったら病院に行った方が良いな。 何やら寝室の外では香澄がバタバタしてる音が聞こえたが、熱でぼんやりとした意識の俺は何してるのか分からなかった。 やがて、制服の上に黒いペチコートを着た香澄が襖を開ける。 「じゃあ、千夜くん。行ってくるわね」 「ああ…」 今の俺は、そう返事をするのが精一杯だった。
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