古屋敷での出来事

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古屋敷での出来事

俺、千夜保(せんや たもつ)は、恋人の諸橋香澄(もろはし かすみ)と、古屋敷で2人暮らしをしている。 パティシエの卵になったのと引き換えに俺は親父に勘当されたからだ。 高校3年生も1月31日水曜日になると、周りは受験生だらけで何処かピリピリしてる。 香澄も例外ではなく、共に学園から帰ったら直ぐに最後の追い込みをかけている。 俺は俺で卒業後はフランス留学する為に、ホームスティ先をあたっていた。 学生寮はもう空きが無かったが、幸いにも洋菓子屋アナスタシアっつー店で住み込みで修行することが決まった。 何でも余りの厳しさに突然辞めた奴がいて、店の方でもその穴埋めに困っていたところで俺からの連絡があったらしい。 日本でも有名な店だから、連絡先を教えてくれた担任の教師に感謝だな。 ところで、俺と香澄の同居生活は、家事全般俺が引き受けていた。 夕飯後、風呂に入っていると台所の方から、ドタバタバッターン!とデケー音がここまで聞こえてきた。 何だ? そう思って早々に風呂場を出ると、俺は台所に向かう。 と、てっきり居間で勉強してると思っていた香澄が台所中、焦茶色した汚れを撒き散らしていた。 「香澄、何やってんだ?」 「せ、千夜くん?!お風呂に入っていたんじゃなかったの?」
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