繋いだ翼

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 ベッドに座っている妻の手を取って、プロポーズをした時のように膝をついた。 「だから、罪滅ぼしとして、これから一生僕の隣で生きてほしい」  呪いのような言葉だと自分でも思った。だが、きっと人を愛するとは、生涯を共にするということは呪いと同じなのだ。一生まとわりつく責任と、逃れられない呪縛。その二つが重なったときにそれは愛となる。 「ありがとう」  喉の奥からやっとの思いで絞り出したような声で妻はそう言ってくれた。すると、叫んでいたせいで、人が集まっていたのか周囲から拍手が湧いた。  大丈夫、もう一度やり直せる。机の上に置いていた離婚届を二人で破った。もう二度と手にすることのない紙が復元できない形になっていくのを笑いながら見つめ合った。  それから一ヶ月して、予定通り妻は退院した。これからも定期的にリハビリのために病院には通うが、それでも気持ちは前向きだった。  リフォームも終えた新しい家にやっと妻が帰ってきた時は、大きな花束をプレゼントした。 「これから夫婦として、もう一度やり直そう」 「もちろん。今度こそ、ちゃんと生きてみせるから」  ピンクと白の花がよく似合う淡くて可憐な笑顔に僕は胸を貫かれたような気がした。僕はきっと、また桃香に惚れ直したのだ。
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