*プロローグ。クリスマスなのに*

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*プロローグ。クリスマスなのに*

     木枯らし舞う風が黒髪を揺らす。 街はクリスマス色に染まっている。 サンタが通り過ぎる。 由羅(ゆら)カオルは息を吐いた。 すぐ白く凍って消える。 ホワイトクリスマスとはよく言うけれど。 明け方から昼まで振った雪はもうやんでしまった。 なのにまだ解けかけの雪が道路の隅で横たわっている。 (日向(ひなた)くん・・・) ショウウインドウから中を見る。 お気に入りの手芸店。 「プレゼント編んでくれるの?だったら一緒に選ぼうよ」 太陽みたいに日向くんが笑う。 日向くんは太陽みたい。 私はヒマワリ。 いつもあなたを追いかける。 1人でどんどん先に行ってしまう。 でも途中で気づいて、振り返りいつも待っててくれる。 そんな日向くんが私は大好きなの。 「来ないなー」 お店で待ってても来るわけがない。 そもそも待ち合わせしていないのだ。 「クリスマスになっちゃった」 約束の買い物デート。 待ってる私。 せめてマフラーくらい編んであげたかったのに。 でも日向くんが私を困らせるわけがない。 いつも誰かに捕まって一緒に帰れない。 面倒ごとに捕まっているのだ。 日向くんはお人好し。 自分から首を突っ込んでいく時もある。 困った人を見ていられないのだ。 「用事じゃ、仕方ないよね」 風が冷たい。 ** 0b33fa14-0ad6-4a3b-a119-d2c515f5afd8
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