来世に願って

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来世に願って

「ずーーっと大好きだよ。」 「ワンッ」 懐かしい記憶。 きっと私は限界なのだろう。 「お前は地獄行きだ。」 その言葉に絶望を覚えたのはいつだったかすら覚えてない。 感覚がない。 あれからどんな風に過ごしたのか自分でも分からない。 ただ、ひたすらに自分の家族を大切にしてきた。 14歳のとき飼い犬を亡くした。死因は交通事故。 18歳のとき母と姉を亡くした。死因は誘拐。 生きているかもと思っていてもいつになっても帰ってこなかった。だとしたら私の中では死んでしまったのだろう。 それから時が過ぎて私は養子をとった。 この子は大切に、と思っていたら 43歳のときその子は亡くなった。死因は自殺。 結局私の近い血縁者で残ったのは父だけだった。 元々どちらの祖父母もあったことは無かったから。 そして60歳のとき父を亡くした。 そして私な1人になった。ネガティブかもしれないけど私は大分不幸だと思う。 そして気の迷いで63歳のとき人を苦しめた。相手は私の養子をいじめた子。自殺に追い込んだ子。 ほんとに偶然だった。笑いながら 「あいつ死に方までダサかったわ」 そんなことを言いながら養子のお墓を蹴った。 お墓には父も入ってる。姉や母は分からないけど。飼い犬はお仏壇に。 お墓参りに来たのか?バカにしに来た? なんにせよ、許すわけがなかった。 寒い冬だったからマフラーを首に回してネジってネジって引っ張って。 相手が真っ青になって苦しんで 息をしなくなる。 そこからは隠せるわけがないから警察に自首した。 刑務所に入って 64歳で私の命は尽きた。 きっと私の大切な家族は天国にいるのだろう。 私の行先は地獄。 何が私をこうさせた? 家族を沢山奪われ、貶されまでして それでちょっと仕返たら地獄? 世の中不平等だ。 私はただ、貴方達に会いたかった。 抱きしめて欲しい、撫でて欲しい。褒めて欲しいし、私からハグもしたい。 ここで指定された罰を終えたら来世を迎えるらしい。 勿論記憶は消えて。 もう貴方達の声は覚えていないけどぬくもりは覚えてる。 皮肉だよね、地獄って言われてやっと自分は家族に「会いたい」なんて思ってたと気付くんだから。 お願いします。 私の大切な家族に、 会いたいです。 まだぬくもりも名前も覚えているうちに。 「あぅ、あ、おぎゃぁぁ」 「生まれてきてくれてありがとう。今日から家族よー!」 人が生まれた瞬間泣くのは何故だろう もしかしたら 「会いたい」が叶ったからなのかも知れません
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