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「これ、やるよ」
相棒が、俺の鼻先に拳を突き出す。相棒の階級に似合わない、日焼けした手。
その指が僅かに動き、一連の細い銀鎖が隙間から垂れ下がった。
「何だよ、藪から棒に」
俺は訝しみつつも、とりあえず鎖の下に掌を出す。間髪入れずにその上に着地した長い銀の輪には、二センチ角ほどの同色の立方体がついていた。
「ペンダント?」
「一人前になったお前に、ささやかなプレゼント」
「え、良いのか? サンキュ」
サプライズを素直に喜び、俺はペンダントトップをしげしげと眺めた。面取りされ、一本の線がぐるりと側面を一周している。鎖とつながるのは、線上の蝶番部分だ。その形は、まるで──
「これ、リングケースみたいだな。開くのか?」
振り仰いだ視線の先にいたのは、涼やかな笑みの相棒ではなく、肉片とボロ布を纏った白骨だった。
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