元カレに会いたい不運な私

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私は二十四歳の小説家である。と言っても、出版した本は全く売れず、今ではアイデアすら浮かばない。いわゆるスランプなのだ。 私は今夜も机に座って、ただぼーっとしていた。パソコンを開き、指をキーボードに置いた途端、頭が真っ白になったのだ。その結果、目の前にある小さな窓の外を見ながら、ただコーヒーを飲むだけの夜になってしまった。 アイボリー色の壁に包まれた、私の散らかった巣。服は適当に投げ捨てられおり、机の上の文房具や模型もぐちゃぐちゃだった。なんてつまらなくて汚い空間なのだろう。けれど、私のようなちっぽけな凡人にはぴったりなのかもしれない。 私はため息をつき、とうとう椅子から立ち上がった。ミントグリーンのセーターを着ていたが、冬の空気はとても冷たかったため、それだけでは体は暖まらなかった。私は部屋の隅にある小さなクローゼットの方へ行き、もこもこの白いジャンパーを手に取った。それを羽織りながらベッドの上に座り、パソコンの画面に映る空白を見つめた。 なぜ、こうなってしまったのだろう。文学を愛し、文字を武器に変えられる私なら、小説家として生きていけると思っていた。それなのに作品は売れず、金も稼げず、恋人もできない。どうして私はこんなにも不運なのだろう。どうしてこんな惨めな思いをしなくてはならないのだろう。私の努力は、全て無駄だったのだろうか。
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