借金

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菊竹と書かれた表札は今にも消えてしまいそう。 祖父母がいた頃は立派な一軒家だったこの家も、年月を重ねるごとに劣化を進めている。 特に水回りの劣化が激しくて床がたわんできているのを夏波はいつも気にしていた。 誰かが床を踏み抜いて怪我をしてしまってからでは遅いと母親に言うのだけれど、母は呑気に『まだ大丈夫よぉ』と、繰り返すばかりだ。 それでも、と思う。 夏波はもう立派な社会人だ。 個人事業主としてほそぼそとながらやっていっている。 仕事も安定してきているし、そろそろ家の改装工事を考えてもいいかもしれない。 夏波は仕事でほどよく疲れた体で我が家を見上げた。
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