隠し事

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隠し事

 ―――最悪だ。  いや、確かに不安はあった。  前期末テストの手応えの不安は、顕著に結果に現れた。  学年順位、7位。  まだそんな魔法の実技試験の難易度は順位に影響するほどのものではないにも関わらず、7位。  後期授業料全額負担。  自主退学の文字が頭をよぎる。  結果を貰った今日は日課となっていたお宝探しは止め、誰とも話さないままひとりで家に帰った。  たった1ヶ月半といえど、毎日お宝探しに明け暮れていたからか?  余裕ぶってジャンとリリーの勉強をみていたからか?  いや、違う。  多分きっと、お宝の魔力や価値を当てにしている気持ちが緩みになったのだ。  実在するかわからないようなお宝に何を期待するっていうんだ?  そう考えつつも確実に勉強時間は減っていたし、勉強中も時々落とし穴の規則性の解明や見落としがないかなど思いにふけってしまうこともあった。  とりあえず両親に報告せねばならない。  半期分とはいえ、かなりの金額。  実は自分のわがままで、このマーナ魔法学校に通わせてもらっているのだ。  両親は元々普通の学校へ通うことを勧めてくれていた。  そして、魔力を持たない父のように普通の企業に就職する事を願っていた。  俺が希望する魔法科学研究所への就職なんて倍率が高い上に、研究員は魔物に命を狙われやすいからだ。
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