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「……さぁ、どうかな」といたずらっぽく笑うユーナ。
笑うと結構可愛いじゃないか。
俺は落とし穴だけでなく、ユーナにも興味が出てきたらしい。
「協力しようか?」と俺。
恋とかそういうのじゃなくて、教室で目立たないようにしているのは演技なのか否か、ユーナの本当の姿を知りたいと思ってしまった。
「君がもし新たに落とし穴を見つけたとして、移動したらその場所がどこなのか検討も付かないのだろう?」
俺の指摘に図星だったのか、目を泳がすユーナ。
「だからさ、俺が一緒にいれば少なくとも学校内かそうじゃないかわかる。一応俺、中等部の頃からこの学校内は歩き回って把握しているんだ」
魔力が低くても記憶力はすこぶる良い俺。
真っ白な紙に学校の見取り図を書けと言われれば書けるし、その場所に何の樹木が植わっているかと聞かれればどんな答えられる。名称がわからなくても、葉や幹の特徴が言える。
ユーナは少し真顔で考え、何かを決心したような表情を見せた。
「わかった。あなたになら話す。そして協力してほしい」
真面目な話なのかと身構える俺。ちょっとドキドキした。
「私はね、落とし穴を探しているんじゃないの。もっと別の物」
ユーナは俺に近づき、耳打ちする。
「このマーナ魔法学校のどこかにね、お宝が眠っているのよ」
思った以上にファンタジーな話で、拍子抜けした。
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