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「はははっ!なんだそれ、まさか君は宝探しをするためにこの学校に入学したのか?」
冗談かと思ったが、ユーナの低い魔法能力や学力を考えればあながち嘘でもないかもしれないと思った。
もし、この1年間でその目的の「お宝」を見つけてしまえば、ユーナが進級試験に合格しなくても学校を退学してしまえばいいのだから。
逆に言えば、タイムリミットは1年間というわけだが……。
「で、お宝って何?まさか金銀財宝?」
だとしたら少し分けて欲しいと本気で思う。
今後の授業料の心配をしなくてもいいほどの資金があれば、本当に勉強したい分野に集中することが出来る。
学年トップを死守しなくても、普通に学園生活を謳歌できる。
魔法能力が低い俺にとって、これからの3年間が怖くてたまらない。
……いや、何を考えているのだ俺は。そんな夢物語あるわけがない。
それが本当なら、とっくの昔に発掘されている。
「あのね、お宝って言ってもお金じゃなくて……魔力なの」
ユーナは俺の考えを見透かしたかのような答えを発してきた。
「……魔力?」
「そう。それも凄い魔力。それを自分に吸収することが出来れば、大魔法使いの座も夢じゃない魔力」ユーナはニヤリと笑う。
大魔法使いとはこの世界で最強の魔法使いに与えられる称号。
誰にも所持されていない魔力は、身体が許す限り誰でも取り込むことが出来る。
「いや、そんな魔力がこの学校に眠っていたら……学校長はとっくの昔に大魔法使いじゃないか」
魔法学校の学校長なのだから、きっと魔法使いではあるのだろう。入学式卒業式などの式典で挨拶に現れた姿は、白髪で優しそうな、いかにも『魔法使いのおじいさん』だった。
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