魔法学校の秘密

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「だからきっと、学校長もその存在を知らない。もしくは価値を知らない。知っていても、どう扱えばいいのかわからないのよ」  ユーナはふざけているようには見えない。だが、信憑性に欠ける。 「何か根拠があるのか?」  まさか森の妖精が教えてくれた、なんてことはあるまい。 「私の父がトレジャーハンターなの。どこかの魔法学校に膨大な魔力が眠っている、というのはトレジャーハンター仲間で昔から語り継がれているそうなんだけど、このマーナ魔法学校だっていう根拠はね、父がコレを見つけたの」  ユーナは上着のポケットの中から、桃色の小さな巾着を取り出し、その中から小指の先ほどの白い結晶を出してきた。 「この学校から続く外の川に、その魔力が放出したと思われる『気』の結晶が溜まっていたの」  小さいながらも、かなりの守護魔力を感じる。 「他にも幾つかあったけどね、私をこの学校に入学させるために売っちゃった。でも怪我をすることが無いようにって、貴重なものだけどコレだけは残してくれたの」  確かにこの結晶の純度なら、1個で1年間の授業料でもお釣りがくる程の価値があるだろう。  それをいくつも生み出すほどの大きな魔力。  俺はゴクン、と喉を鳴らした。  ―――ウバッチャウ?  頭の中に黒いモヤがかかり、耳元で自分の声が囁いた。 「……ソルト?」  ユーナの声でハッとした。  ユーナが不思議そうな表情で俺の顔を覗き込む。  自分が今どんな表情をしていたのか不安になり、血の気が引き、そしていたたまれなくなり目を背けた。
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