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昼休みが終わり、昼一番の授業。
ネイマール先生の戦いにおける基礎学の授業だ。
この時間は皆、眠気など吹っ飛ぶほど楽しみにしている。
何せ、実戦経験のある講師の授業だから。
とはいえ、いきなり実戦的なものを学ぶわけでもなく、地形に適した装備や野営方法、魔物の種類による特性と身の守り方など、生きていくために必要な事などリアルな話を交えての授業だから面白いのだ。
「さて。今日は凄いものを持ってきたぞ」
ネイマール先生が白い大きな袋から、バスケットボールほどの大きさの金の鳥籠を出してきた。
中には……黒く禍々しい塊。輪郭がぼやけて形になっていない。
「それっ……魔物!?」誰かが立ち上がり、叫ぶ。
その声に反応して皆動揺し、騒ぎ、席から立って距離を取ろうとする者もいた。
「あー、いきなりごめん。大丈夫だよ。この魔物はレベル1。金の鳥籠の中に入れば、瘴気すら出せないくらい弱いから」
本当に悪いと思っているのか、ネイマール先生は笑いながら鳥籠を揺する。
俺も本物を見るのは初めてだったので少しビビってしまったが、席が教壇から離れていたので醜態は晒さずに済んだ。
無害という事を知ると、皆、興味本位で鳥籠の周りに集まっていく。
ふと、後ろの席の方で真っ青になったユーナの姿があった。
「ユーナ、大丈夫か?」俺はユーナのそばに歩み寄る。
ユーナも見るのは初めてなのだろうか、震える指で鳥籠を指さし、
「あれ、本物…なのかな。先生…どこでアレを捕まえたのかしら」と呟いた。
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