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「先生!その魔物、どこで捕まえたのですか!?」と俺が代弁する。
ペットです、なんて言われたらちょっと引く。
「あぁ、これは……昔所属していた部隊の知り合いから譲ってもらったんだよ。やっぱり実物を見て学んで欲しいからね」
―――グシャッ!と生卵が潰れるような音がした。
慌ててネイマール先生はその音の方向を確認する―――鳥籠の中を。
鳥籠内にいる魔物の輪郭がよりはっきりとしていた。
真っ赤な目をした真っ黒のネズミのような、小動物の形。
「レ、レベル2だ!!」
ネイマール先生がそう叫んだ瞬間、魔物が鳥籠を突き破り、天井に張り付いた。
皆一瞬の事で反応できず、壊れて空っぽになった鳥籠に目を奪われていた。
ただ、遠く離れていた自分達には状況がよく分かった。
魔物が黒い瘴気を吐き出すと同時に、ネイマール先生が消滅魔法の呪文を唱え、気を魔物にぶつける。
クラスの皆はこの時点でやっと魔物が天井にいることに気がつき、慌てて逃げ出した。
魔物は断末魔を上げ瘴気をばら撒き、散っていった。
ほんの5秒ほどの出来事だった。
この後、騒ぎと瘴気を感知した先生方が駆けつけ、教室中の浄化や気分が悪くなった者に回復魔法をかけるなど、ケアに当たってくれた。
ネイマール先生はというと、放課後校長室へ来るようにと言いつけられていた。
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