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騒ぎを聞きつけ、先生方が教室に駆けつけてきた。
まるで俺が襲ったかのようなこの状況。
絶体絶命の大ピンチ、退学か!?と思ったが、先生のひとりが冷静に「瘴気を感じますね」と言ってリリーに浄化魔法をかけた。
どうやら俺が拭き取っていたススの瘴気が集まり、リリーの感情に悪さをしたらしい。
俺には特に影響はなかったが、もし双方に瘴気の影響があった場合は血を見るような惨事になることもあり得たという。
教室全体に浄化魔法をかけたはずだがなぁ、とネイマール先生の授業の時に駆けつけてきた覚えのある先生が首を捻っていた。
「私、自分が一番やりたくないと思う事を無性にしたくなったの。やりたくないと頭の中で抵抗すれば抵抗するほど、胸が高まって止められなくて……、ごめん、ソルト」
リリーは先生から差し出された温かいハーブティーをすすりながら、ポロポロと涙をこぼす。
涙は止めない方がいい、心の治癒になるからと先生に言われた。
「だけど、そんな姿をジャンに見られて……もう死にたいぐらい悲しくて…」
ん?
「リリー。確かに驚いたけど、リリーはそんな無理矢理人を誘惑するような子じゃないってわかっているし、何よりソルトに対しては幼馴染みの感情以外持っていないってよくわかっているから。すぐに何かおかしいって思ったよ。ずっとリリーを見てきた俺だからわかっているよ」とリリーの手に自分の手を添えるジャン。
んんん?
もう大丈夫のようだね、と退散する先生方。
先生方が去るのを確認して抱きしめあう二人。
あれっ…。
俺、邪魔ですか?
あ、もしかして俺の存在忘れ去られている?
濃厚なキスシーンまで見せられた後、やっと俺の存在を思い出してもらえた。
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