誘惑

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 帰り道、「昨日ジャンと二人で帰れたのが嬉しくて…今朝のクッキーはそのお礼のつもりだったの。まさか今日こんなことになるとは思ってもみなかったけど」とリリーが嬉しそうに言った。 「そ、そうか。丁度いい。俺、実はネイマール先生からの依頼を週末限定でするつもりだったんだけど……どうやら早く成果が欲しいみたいで、やっぱり毎日居残りしていくよ。これから二人で先に帰ってくれるか?」  白々しいと思いながらも、俺なりに一生懸命気を遣ってみた。  大切な幼馴染が親友と付き合うなんて、喜ばしい事だ。  後でネイマール先生に口裏を合わせてもらわなくては。  ネイマール先生は今回の事で俺らに迷惑をかけたのだ。それぐらいお安い御用だろう。 「あ、夕飯の時間までには帰る予定だから、もし勉強しに来るなら来いよな」と、仲間はずれになりたくないと思う自分が虚しい。  とはいえ、いつも夕飯までに自分の勉強を済ませ、夕飯後はこの二人の為の学習時間としていたから、そこは要領よく時間を使わないととてもじゃない首席を保つことは難しくなる。  本当にさっさとお宝を見つけて、本来の生活に戻さないとな。
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